司ゴム電材株式会社 TSUKASA RUBBER&ELECTRIC MATERIALS CO.,LTD.

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2025.12.09 技術情報 製造技術

金型不要!低コストで高品質な複製を実現する「真空注型」

試作のコストや納期でお悩みではありませんか?
その課題を解決する切り札として、司ゴムグループ会社「株式会社TMC」が誇る、独自の技術をご紹介します。

真空注型とは

「真空注型」という製法をご存知でしょうか。

真空注型とは、金型の代わりにシリコンゴム等を複製用の型として使用し、型に樹脂を流し込み固化させた後、型を外して製品を作る方法です。
真空注型は、真空槽の中で真空状態を作り出し、型の隅々まで樹脂が行き渡るため、気泡ができにくいのが特徴で、弊社では材料別に大きく分けて2種の注型品を作成できます。

①ウレタン樹脂注型:型にシリコンゴムを使用
②シリコンゴム注型:型にアクリル樹脂を使用

真空注型のメリットとデメリット

【メリット】

 ・複製品は精度が高く、金型に比べ短期間・低コストで複製品を製作することが可能
 ・中ロット(10~20個)の製品を作る時は、切削試作よりも安く成型が可能
 ・ウレタンゴム、シリコンゴムの硬度指定も可能

 

【デメリット】

 ・材質の選択肢が少ない
 ・寸法精度は元のサンプルの精度に依存
 ・シリコンゴムなどで型を作るため、型自体の耐久性が低い

 

どんな材料、どんな加工方法にもメリットとデメリットは存在しますが、真空注型では、デメリットに当てはまらない場合、製品の試作時や少量生産品においてコストメリットを出すことが可能となります。






真空注型の工程

真空注型では3つのアイテム(見積もり項目)が必要となります。




①型を起こすためのマスター品

製品の元となりますが、TMCにて切削でマスター品の製作も行っています。型の製作毎にマスター品には負荷がかかりますので、形状や大きさにもよりますが、5つの型を成型ごとにマスター品を製作いたします。


②注型型

注型型を使用して製品を成型していきます。1つの注型型で成型できる個数は、20個程度となります。


③製品

注型型で一つずつ製品を成型してきます。


  • ①マスターを作成

    マスターとゲート(※)を作成します。
  • ②型枠を作成

    型枠の中にマスターとゲートをセットし準備します。
  • ③シリコンゴムの計量・撹拌

    主剤と硬化剤を量り、十分に混合します。
  • ④シリコンゴムの予備脱泡

    混合時にまき込んだ空気を抜くため真空脱泡します。
  • ⑤シリコンゴムの注入

    脱泡したシリコンゴムを型枠に流します。
  • ⑥真空脱泡

    空気を抜くため真空脱泡します。
  • ⑦ゴム型の完成

    型枠からゴム型を取出し切開してマスターを取出したらゴム型の完成です。
  • ⑧型の組合せ

    ゴム型に離型材を塗布しテープ等で固定して型の両面を合わせます。
  • ⑨樹脂の混合・撹拌

    主剤と硬化剤を量り、十分に混合します。
  • ⑩樹脂の注入

    成形用樹脂を注入口から流し込みます。
  • ⑪樹脂の硬化

    乾燥炉に入れ、硬化させます。
  • ⑫仕上げ・完成

    型を外し製品を取出し、仕上げの処理をしたら完成です。

※あらかじめ樹脂を注入する入り口を作成するためのABS等の丸棒のことです。




材料一覧表

グレード 使用樹脂 主な特徴 硬さ カラー
ABSグレード ウレタン樹脂 ABS同等の機械物性 曲げ弾性率2000MPa付近
ABSに近い硬さ
黒、ナチュラル、白
乳白
※調色可
PPグレード ウレタン樹脂 PPの様な柔らかさあり 曲げ弾性率1500MPa付近
PPに近い硬さ
黒、ナチュラル、白
※調色可
ゴムグレード ウレタンゴム エラストマーの試作に最適 硬度50~90°迄調整可能 黒、ナチュラル
※調色可
透明グレード ウレタン樹脂 アクリル相当の透明性、
外装品カバー等に最適
透明
※調色可
遮光グレード ウレタン樹脂 バックライト等の遮光が必要な部品に使用 ABSに近い硬さ
シリコンゴム シリコンゴム パッキン、キーボタン等に最適 硬度30~70° 透明、ナチュラル
※調色可



注型品の実績例

  • 【IR注型】

    TMCでは独自の製法により量産と同等のIRフィルタ性能を持つ注型品をご提案できます。
  • 【注型品】カラーバリエーション

    ウレタン注型でも繊細な色合いで高評化頂いております。シリコンゴムもきれいに着色します。
  • 【ウレタンゴム注型】

    注型で硬度も異なる注型同士、硬質ウレタンとウレタンゴムも一体化できます。
  • 【精密注型品】

    精度の高い機構部品も注型で対応可能です。
  • 【光拡散注型品】

    拡散剤を使用することにより、注型品でもLEDの光を拡散します。拡散具合も調整可能です。
    ※ウレタンアクリル相当光拡散配合
  • 【シリコンゴム注型品】

    パッキン、キーボタン等の試作も可能です。弊社のシリコンゴム注型は精度が良いと好評価を頂いております。

試作のコストや納期でお悩みではありませんか?

型費を抑えたい、材料の提案が欲しいなど、お困りごとがございましたら是非ご連絡ください。 今まで数多くの試作や成型の実績がございますので、お客様へは様々な角度からのご提案が可能となります。

また、TMCでは『OPM工法(特許取得済)』という特殊成型もございます。 ご不明な点や案件のご相談等がございましたらお気軽にお問い合わせください。 詳しい担当者がすぐに対応いたします。

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