司ゴム電材株式会社 TSUKASA RUBBER&ELECTRIC MATERIALS CO.,LTD.

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2026.04.07 技術情報 製造技術

板金加工と溶接の種類・特徴を完全解説|メリット比較と歪みを防ぐ設計のコツ

板金と溶接は、製造業において「切っても切れない関係」ですが、それぞれが製造の要となる独立した専門技能です。

司ゴム電材では、国内5拠点の板金工場で月間550tを超える鋼材を扱う中で、膨大な数の設計課題や現場の難題を解決し続けてきました。本ページでは、その圧倒的な施工実績から導き出した知見をもとに、板金・溶接の多様な手法とその使い分け、そして品質を左右する熟練技術のポイントについて解説します。

板金加工の種類:形状を生み出す技術

板金加工は、一枚の金属板を設計図通りに加工するプロセスになります。大きく分けて以下の3つの工程があります。



① 切断(ブランク加工)

板材から必要な形状を切り出す工程です。
レーザー加工:高出力レーザーで溶断します。精度が高く、複雑な形状も得意です。
シャーリング:巨大なハサミのような機械で直線的に切断します。
タレットパンチプレス(タレパン):金型を叩きつけて穴あけや成形を行います。



② 曲げ(ベンディング)

切り出した板に角度をつける工程です。
プレスブレーキ:「ダイ」と「パンチ」という金型で板を挟み込み、圧力をかけて曲げます。
ロール曲げ:3本のローラーの間に板を通し、円筒状(アール)に加工します。



③ 絞り加工

金型を使って、板を継ぎ目のない「カップ状」や「お椀状」に成形する高度な技術です。






溶接の種類:金属を一体化させる技術

板金で成形された部品同士をつなぎ合わせる溶接ですが、板金の厚みや材質によって使い分けられます。



現場で主流の「アーク溶接」

「アーク」という強い光と熱(約 5,000°C 以上)を利用して金属を溶かす手法です。




アーク溶接の種類と特徴

項目 被覆アーク溶接
(手溶接)
TIG(ティグ)
溶接
半自動溶接
(MAG / MIG)
スポット溶接
(抵抗溶接)
特徴・概要 溶接棒を手で持ち、火花を散らしながら作業する最も伝統的なスタイルです。 火花が散らず、非常に静かで繊細な溶接です。アルゴンガスなどの不活性ガスで溶接部を保護します。 コイル状に巻かれたワイヤーが銃(トーチ)の先から自動で供給されます。 2枚の板を電極でギュッと挟み、電気を流した際の抵抗熱で「点」でつなぎます。
メリット ・装置がシンプルで安価
・屋外や風のある場所でも作業可能
・仕上がりが圧倒的に美しく、ステンレスやアルミに最適
・火花(スパッタ)が飛ばない
・長い距離を連続で溶接でき、効率が非常に高い ・スピードが極めて速い
・自動車のボディラインなどで多用される
デメリット ・溶接棒を頻繁に交換する必要がある
・品質が職人の熟練度に依存する
・溶接スピードが遅い
・コストが高い
・風に弱く、装置が大型 ・重ね合わせた板の接合に限定される






次世代の技術「レーザー溶接」

近年、板金業界で急速に普及しているのがレーザー溶接です。エネルギーを1点に集中させることで熱による「ひずみ(反り)」をほとんど発生させない超高精度な技術であり、物理的に触れずに溶接できる非接触の特性から超微細な電子部品の接合も可能です。最近ではファイバーレーザーを用いた手持ち式の「ハンディレーザー溶接機」も登場しており、TIG溶接に代わる次世代機として大きな注目を集めています。



溶接の品質を左右する「シールドガス」

金属は高温で溶けると、空気中の酸素や窒素と反応して「錆(酸化)」や「泡(ブローホール)」が発生し、強度が落ちてしまいます。これを防ぐために、アルゴンや二酸化炭素などのガスを吹き付けて空気を遮断(シールド)します。溶接機からガスが出ているのは、金属を守るための「バリア」を張っているからなのです。





「 板金」と「溶接」の絶妙なチームワーク

この2つが組み合わさる「板金溶接」において、最も重要なのは「溶接を考慮した板金設計」です。



歪み(ひずみ)との戦い

金属は熱を加えると膨張し、冷えると収縮します。溶接の熱によって、せっかく精密に曲げた板金がグニャリと反ってしまうことがあります。これを防ぐために、あえて逆方向に曲げておく「逆歪み」をつけたり、熱が逃げやすい設計にするなど、職人の経験則が光るポイントになります。



強度と美しさの両立

溶接した箇所をサンダーで削り、まるで最初から一枚の金属だったかのように仕上げる「仕上げ加工」も板金職人の腕の見せ所です。



ものづくりの根幹を支える

現代ではロボットによる自動化が進んでいますが、それでも金属の「個体差」や「熱による挙動」を完璧に読み切るには、熟練の勘が必要になります。板金が「骨組みと外皮」を作り、溶接が「魂(強度)」を吹き込む。大げさに感じるかもしれませんが、この技術により私たちは安全で機能的な工業製品の中、快適に過ごすことができています。




板金製品の品質は、設計と溶接の相乗効果で決まります。

板金加工は、単に「切って曲げる」工程の集まりではなく、熱による金属の歪みや変化を的確に捉え、製品の強度と美しさを最大限に引き出す高度なプロセスです。製品の精度、耐久性、そしてコストパフォーマンスは、溶接を考慮した最適な設計と、それを具現化する熟練の技術次第で決まると言っても過言ではありません。

司ゴムグループでは、国内5拠点のネットワークと月間550tを超える鋼材取扱実績を活かし、材料選定から最適な加工・溶接手法のご提案まで、トータルで貴社のものづくりをサポートいたします。

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